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学術情報センターで所蔵する主な貴重資料(4)

子遠宛吉田松陰書簡(安政6年正月3日付)
 
子遠宛吉田松陰書簡 全文
(子遠宛吉田松陰書簡)
 
 
子遠は、松陰門下生入江杉蔵(九一)である。当時松陰は、安政大獄に罹り、萩の野山獄にあり、5月には江戸に送られ、10月処刑された。書翰の前半は、吾が党の支持者と思われる野山獄番人孫助に面会して人物を試すことを依頼しているが、「大抵文辞ある人は言語信じ難し。無丁の野漢、是僕の此人を取る所以」(7行目)とあるのは、彼の人間観を語るものとして興味深い。後半には、「投獄紀事」(野山獄に投じられた経緯を記したもの)の成稿を告げているが、それに続けて「僕獄に在り、日として諸友を思わざる無し。而して子楫・無逸に於て最も深し」と、門下生への愛情を述べている。
子楫は岡部富太郎(利濟)、無逸は吉田榮太郎(稔麿、池田屋の変で死す)である。
なお、本書簡は幕末期長州藩出身志士関連の書簡類を1巻にまとめた「長州藩志士遺墨」に収められている。