新古今和歌集竟宴和歌 一巻[鎌倉期写]
(新古今和歌集竟宴和歌)
元久2(1205)3月26日,新古今集の勅撰事業完成を祝って後鳥羽院により召集された歌会の記録。後鳥羽院始め集った藤原良経,家隆など歌人の歌20首が書き留められている。江戸期の年号を記した伝写本も何点か存在するが,本学所蔵本は鎌倉期の写本とみられる。
古く金沢文庫に伝わったもので『金澤文庫』の古印が押されている。江戸時代初期に京都三井家本家の所有となり戦後流失して本学の所蔵となった。重要文化財。
内容
- 後鳥羽御製 新古今和歌集竟宴和歌
いそのかみ ふるきをいまにならべこし むかしのあとを またたづねつつ - 藤原朝臣良経上
しきしまや やまとことばのうみにして ひろひしたまは みがかれにけり - 藤原朝臣頼実上
わかのうら なみものどけきみよなれば かきあつめたる たまもしほぐさ - 源朝臣通光上
ちよまでと よするたまをもかきつめて なみもいくよの わかのうらかぜ - 源朝臣通具上
むかしいまの むかしをうつすたまのこゑ こゑごゑきみがちよぞきこゆる - 藤原朝臣隆衡上
よろづよの ことのはいまやしげからん けふふきそむる わかのうらかぜ - 藤原朝臣経家上
ふりにける あとのまかするみづぐきも なをゆくすゑの ためしにぞかく - 藤原朝臣有家上
しきしまや やまとしまねのかぜのつて けふのためとや たえずふきけん - 藤原朝臣経通上
いくちたび 君かみことのけふにあわん わかのうらかぜ ふきつたえつつ - 藤原朝臣保季上
わがきみの ながきたからとしきしまや やまとことのは かきあつむらん - 藤原朝臣家衡上
よるなみも こえしづむらしいにしへに いまふきかようふ わかのうらかぜ - 藤原朝臣家隆上
君すめば よするたまももみがきいでつ ちよもつたへよ わかのうらかぜ - 藤原朝臣雅経上
きみがよに なれぬるわかのうらかぜに あまねきなみや しまのほかまで - 藤原朝臣親房上
ふりにける ことのはとてはあつむれど むかしはかかる ためしやはある - 平朝臣宗宣上
ながきよの ためしなるかなしきしまや やまとみことの ゆくすゑのはる - 藤原朝臣忠定上
みなひとの ことばのつゆもあらはれて はこやの山に みがく月かげ - 源朝臣具親上
ふくかぜも のどけききみのよよのあと むかしにかへる わかのうらなみ - 源朝臣家長上
わかのうらに もしほもるみのいとまなみ けふよりのちや たちもはなれむ - 藤原朝臣清範上
よものうみの うらうらごとにたづねみて ひろへるたまの こゑもありけり - 藤原朝臣秀能上
いくちよも ことばのはなのいろにみよ むかしもきかぬ はなのまとゐを